コロカシア特集
はじめに
湿地に生きる植物として進化してきたコロカシア。 大きく広がる葉、美しい斑や黒葉、個性豊かな姿は、まるで自然が生み出した芸術品です。 不思議なコロカシアの魅力と育て方をご紹介します。
01.基本的な特徴
葉のしくみと毒について
コロカシアは、サトイモ科に属する多年生植物です。 葉が大きなハート型で、表面は微細な凸凹があり、 水滴をはじく「ロータス効果」。見られる品種もあります。 例えば、艶消し葉のブラックマジックは強く水をはじく一方で 艶のあるブラックコーラルは水をはじきにくい性質を持っています。 いろんな品種がありますので、お気に入りの葉を自然の芸術品としてお楽しみください。
サトイモ科ではありますが食用にはできません。 コロカシアには熱でも分解しにくいシュウ酸カルシウムが含まれているためです。 食用のサトイモにもシュウ酸カルシウムが含まれていますが、 通常熱によって分解され、無毒化されます。
コロカシアのイモ部分
また、よく似た名前のアロカシアという植物との違いは葉の向きと葉柄の付き方にあります。 コロカシアは葉先がやや下向きになりやすく、葉柄は葉裏につながります。 一方、アロカシアは葉先が上向きで、葉の切れ込み部分に葉柄が付くものが多いです。
02.進化の歴史
湿地のニッチポジションを獲得
葉のかたちや色に変異が多く、さまざまな品種が存在する
コロカシアの生息する場所は環境変化が大きい湿地帯
コロカシアは、中新世頃に東南アジアからインドにかけて広がる湿地帯で分化・進化してきた植物と考えられています。 しかし、中新世は温暖で湿潤な気候が続き、降雨量も多く、湖沼や湿地が大きく発達した時代でした。 この環境変化によって多くの水辺植物が多様化し、コロカシアにとっても、この時代は進化の大きな転換期だったといえるでしょう。
他の水草と同様に、コロカシアも通気組織が発達していて、水分が多く、日光の当たる暖かい場所が好きです。
おそらく、完全な水生(抽水性植物や沈水性植物)とは違い、より水際の場所で日光独占するように進化を遂げたお陰で、湿地性のニッチポジションを獲得できたのでしょう。
茎はスポンジのような通気組織になっている
コロカシアの選んだ湿地帯は、水位変化が激しく、乾燥や冠水を繰り返す過酷な環境です。 そのため栄養を蓄えるためのイモを創り出すことで適応したのではないでしょうか。 とてもユニークで賢く、健気な進化だと思います。 厳しい湿地環境を通気組織とイモの生成なんとか生き延びる強さたるや人間も見習うものがあります。
03.バラエティ豊かな品種
葉の造形美を楽しむ
人気の品種をご紹介します。
品種によって特徴はさまざま。コロカシアの奥深さをお楽しみください。
ブラックマジック
昔から親しまれる定番品種。 黒く妖艶な葉が魅力で、艶の少ない葉と強いロータス効果(撥水効果)が特徴。 丈夫で育てやすい人気種です。強い光ほど葉色が濃くなります。
ファラオマスク
葉の生長とともに葉脈が盛り上がり浮き出てきます。 エジプトの黄金のマスクのような神秘的な雰囲気が人気。 葉の形は盛り上がり方に即しながらやや内向きに曲がる姿が個性的です。
ブラックコーラル
ブラックマジックよりも更に黒味が強く濃い黒紫です。 一方で、葉に艶がありロータス効果は感じられません。 この照り感が高級な風情を醸します。 強い光で育てるとより黒みが増します。
モヒート
コロカシア人気の火付け役ともいえる斑が入った品種。 黄緑の地に迷彩のような黒紫の斑がまだらに出てきます。 斑の出方は様々で、新芽が出るたびに楽しくなります。
イエロースプラッシュ
明るいグリーンの葉に黄色がかった不規則な斑が入る個性豊かな品種。 葉ごとに模様の出方が異なり、絵の具を散らしたような軽やかな印象に。 生育もよく、管理がしやすいのでガーデンのアクセントや鉢植えにもおすすめです。
コーヒーカップ
コロカシアの中では珍しく葉が上向きに逆円錐状に反ります。 そこに水が溜まり、カエルなどが入ったりして楽しいです。 ブラックマジック同様に黒系の葉で、日光に当てるとより黒くなります。
マウイサンライズ
ハワイの日の出のような経時的な変化が楽しめる斑の入り方をします。 茎にはほんのりとピンクがかるものもあり、全体として上品で涼しげな印象に。
ホワイトラヴァ
葉の中心部に白斑が入ります。 華やかな印象で葉の観賞価値が高く人気です。 マウイサンライズとは違い、葉脈に沿った斑ではなく、 まさに溶岩(ラヴァ)のようにあふれでた斑が面白い品種です。
04.基本の育て方
水は切らさず、日光が大好き。
多年性ではあるものの寒さには弱いコロカシア。
屋内管理の方が日本の環境には向いています。
屋外の場合、夏の直射は避け、冬は休眠管理を行う必要があります。
日当たり
[ 屋内の場合 ]
強い光を好む。窓辺のよく日の当たるところか、植物育成ライトの使用が望ましい。
[ 屋外の場合 ]
長く日の当たる場所がおすすめ。夏の直射日光は葉焼けを起こすため注意が必要。
水やり
[ 屋内の場合 ]
湿潤な環境を好むため、常に土が湿った状態を保つ。
基本的に腰水管理が好ましい。
[ 屋外の場合 ]
屋内と基本的に同じ。
水やりを毎日行うよりも、腰水管理がおすすめ。
肥料
肥料が好きな植物。 緩効性の化成肥料がおすすめ。 弊社農場にて使用している化成肥料であれば、成長期の春夏には月1-2回、葉の艶や色味を見ながら適量を与える。
冬の管理
寒さに弱い。
5度近くなると枯死の危険性が高まるため
暖かい室内で日光の当たる場所か植物育成ライトを使用する。
寒いのに水を与えすぎると株が腐ることがある。
屋外での冬越しの方法は▶05.冬期の休眠方法へ。
05.冬期の休眠方法
イモを眠らせる2つの手法
コロカシアは寒さが苦手です。
冬は屋内の暖かい場所で育てるのが一番良いですが、場所にも限りがあります。
ここではイモで休眠させて春に発芽させる方法をご紹介します。
鉢のまま休眠させる
10度以下になる時期に少しずつ水を減らしていきます。
腰水管理から水やり管理に移行し、徐々に土を乾燥させます。
すると葉が黄色くなり、やがて茶色く完全に枯れます。
その時点で株元から数センチ上の部分で切って、発泡スチロールや段ボールなどに鉢のまま入れて蓋をして、
温度変化の少ない場所で管理してください。
イモを掘り起こして休眠させる
枯れるまでの以降は鉢管理の場合と同じ手順です。
枯れた状態になったところで、堀おこし1、2日ほど日陰で干します。
乾燥したら新聞紙やピートモスなどにくるんで袋に入れ、温度変化の少ない場所で保管してください。
起こすのは、省スペースで管理できる利点があります。
[ 休眠から植え付け ]
最低気温が15度くらいになる時期に植え付けて、たっぷり水をやり腰水で管理してください。
